重複は3つの層に分かれる
同じ求職者が二度届く経路は大きく3つあります。求職者が書類を作り直して同じ会社に二度同意した場合、前回の送客から日が空いて再び同じ会社に届いた場合、そして別の送客事業者や自社の集客経由ですでに接点がある人が届いた場合です。
この3つは対処も費用の扱いも違います。第1層は送客元のシステムが自動で落とすもの、第2層は自社が期限内に申請して落とすもの、第3層は契約上どこにも請求できず、自社の名寄せで弾くしかないものです。件数がいちばん多くなるのは第3層で、ここは費用が発生します。
| 層 | どんな重複か | 誰が弾くか | 費用 |
|---|---|---|---|
| 第1層 | 同じ求職者が同じ送客先へ、ごく短時間に二重で届く | 送客元が自動で除外 | 請求に乗らない |
| 第2層 | 同じ求職者が同じ送客先へ、一定期間内に再び届く | 自社が期限内に申請 | 非課金(申請が必要) |
| 第3層 | 他社経由の同一人物・自社にすでにいる登録者との重複 | 自社の名寄せ | 費用は発生する |
自動で落ちる重複:送客元の判定キーを確認する
第1層は、送客元が自分のシステムで落としている分です。当社(求職者送客クラウド)の実装を例にすると、求職者を指す鍵は、メールアドレスを小文字に揃えたもの、それが無い場合は電話番号から数字だけを取り出したものを使っています。数字が10桁に満たない番号は、別人と衝突しかねないので鍵として使いません。
保存しているのは連絡先そのものではなく、この鍵をハッシュ化した文字列です。そのうえで、同じ求職者が同じ送客先に24時間以内にもう一度同意した分に重複の印をつけ、請求用の集計から除いています。印をつけるだけで行は消しません。求職者が書類を作り直して二度同意する動きは一定の割合で起きるため、あとから経緯をたどれる状態を残しています。
- 鍵はメール優先、無ければ電話番号(記号・ハイフン・全角を除いてから比較する)
- 10桁未満の番号は鍵にしない(短い番号は別人と一致してしまう)
- 判定は送客先ごとに行う(別の紹介会社に届いた分は、その会社にとっては重複ではない)
- 重複と判定した行も残し、請求からだけ外す
- 契約前に「判定キーは何か」「生の連絡先を保存しているか」を聞くと、運用の詰め方が分かる
申請で落とす重複:期間の定義と申請期限
第2層は、自動判定の窓より長い期間での再送客です。当社の利用規約では、過去1ヶ月以内に同じ利用者へ送客した求職者を再び送客した場合を非課金の対象としています。ここが「同日のみ」と書かれている契約だと、実務上ほとんど戻りません。期間の定義は必ず条文で確認してください。
非課金は自動では戻らず、申請が必要です。当社の場合は、当月に発生した分を翌月2営業日の13時までに管理画面から申請いただく運用で、期限を過ぎた分は確定します。条件そのものの読み方は非課金・返金条件の読み方にまとめています。
- 重複とみなす期間(同日/1週間/1ヶ月)を契約書の条文で確認する
- 申請の方法と期限、求められる資料を確認する
- 月初に非課金候補を抽出する担当と締切を社内で決めておく
- 申請した件数と認められた件数を月次で記録する(認定率が低ければ、条件は実質的に厳しい)
自社で弾くしかない重複:名寄せキーの設計
第3層が本題です。他社の送客サービス経由で届いた同一人物や、自社が自力で集めてすでに登録している求職者との重複は、ほとんどの契約で非課金の対象外です。当社の規約でも、本サービスによらず保有する登録情報との重複を理由に課金対象外とすることはできない旨を明記しています。送客元は自社が過去に送った履歴しか持たないため、事業者をまたいだ名寄せは受け取る側の仕事になります。
キーは1本では足りません。電話番号を変えた再登録、別のメールアドレスでの作り直しが必ず起きるためです。次の3本を持ち、いずれかが一致したら「同一人物の候補」として扱うのが最小構成です。一致した場合は新規レコードを作らず、既存の候補者に接点を追加する形にします。
| キー | 正規化の仕方 | 外れる場面 |
|---|---|---|
| 電話番号 | 数字のみを抽出する(10桁未満は使わない) | 番号変更・家族と同一番号 |
| メールアドレス | 前後の空白を除いて小文字に揃える | 別アドレスでの作り直し |
| 氏名かな+生年月日 | かなに統一し、記号と空白を除く | 旧姓・改名/入力の揺れ |
重複を見つけたあとの運用:二重架電を止める
名寄せの目的は、請求より先に二重架電を止めることです。同じ求職者に2人の担当者から電話がかかると、求職者から見れば同じ会社からの2度目の電話で、1度目に作った関係が壊れます。費用の精算よりこちらの損失のほうが大きくなります。
取り込みの時点で既存一致を判定し、その場で担当者を確定させる設計にしてください。受け取ったデータの項目の持ち方は送客リードをCRM・ATSに取り込む設計にまとめています。
- 既存一致のリードは新規キューに入れず、前回の担当者へ通知する
- 前回の接点から一定期間(たとえば90日)が空いた場合に担当を戻すか付け替えるかを決めておく
- 経路の情報は上書きせず、接点の履歴として積む(どの送客元から何回届いたかが単価交渉の材料になる)
- 重複率は送客元ごとに月次で出す(1社だけ突出していれば、集客面が他社と重なっている)
よくあるご質問
他社の送客サービス経由で同じ人が届いた場合、返金されますか?
ほとんどの事業者で対象外です。送客元は自社が過去に送った履歴しか持っておらず、他社経由で届いた分は判定できないためです。当社の規約でも、本サービスによらず保有する登録情報との重複は非課金の事由になりません。複数社を併用する場合は、自社側の名寄せを先に用意してください。
重複率はどれくらいが目安ですか?
集客経路と受信条件によって変わるため一概には言えませんが、同一事業者内での重複は数%に収まるのが普通です。それより高い場合は、判定キーが弱いか、同じ求職者が何度も書類を作る導線になっている可能性があります。送客元ごとに分けて月次で出しておくと、比較の材料になります。
名寄せはCRMの標準機能で足りますか?
電話番号とメールアドレスの完全一致だけなら標準機能で足りることが多いですが、正規化が入っているかを確認してください。ハイフンの有無や全角半角の違いで別人として登録される実装は珍しくありません。氏名かなと生年月日を組み合わせた3本目のキーは、追加項目で自前で持つ形になることが多いです。

